「外国人差別の現場」を読んで

 

レイシズムを抱えた人間は、自分たちの首を締め上げ続けているものが一体何なのか分からないまま生かされてる。彼女ら彼らは技能実習生を契約と違う法外な低賃金で働かせないと首が回らない農業や縫製業をほったらかしにしている仕組み(政治)が本来改善されるべきなのに、スケープゴードに仕立て上げられた外国人をいつまでも憎み続ける。

外国人に仕事を取られる? だったら技能実習生の席を奪って時給400円でパスポートも預金通帳も取り上げられて働いたらいい。限界になったら逃げてもいいが、逃げたことで在留資格が無効になったあなたにはあなたを非人間的に扱う入管への無期限の収容が待っている。国に帰りたいなら、その上でその希望が叶えられるまで生き延びることができたなら、国へ帰るといい。国には日本に渡る前にブローカーに渡す法外な手数料を工面するためにした借金の返済が待っている。日本で稼いで豊かな暮らしを与えるつもりでいた、愛しい家族も待っている。

日本は、made in japan()は、何十年も前から既に限界だったんだと知った。これは今に始まったことじゃない。


地元で無機無農薬の農園を経営している方が標榜する「いずれは一家族一つの畑が持てるといい」という言葉を思い出す。魅力的なオルタナティブだと思う。国産だろうが外国産だろうが、誰かの血と涙を養分に育った作物しか生産できない資本主義はとうに限界を迎えている。


熱を込めて陰謀論を説く人の文体になってしまった。でも実際この人身売買ビジネスは陰謀なので仕方がないね。


この本を読んでから、この問題について何度も言語化を試みているが、毎回どうしてもアドレナリンが噴き出して冷静になれない。あまりに理不尽な問題であることと、無自覚に生きているレイシストの間抜けさと、何よりも破綻した仕組みにやんわりと加担して生きてきて、こんなことを書いておきながら今も尚そうせざるを得ない自分自身への、絶え間ない怒りで。

 


私は資本主義を憎んでいるので資本主義をディスる方向にちらっと話を広げたけれど、蛇足感ありました。自分も加担しているのだと真剣に捉えすぎて気に病むのは全く健康的ではないし、自分もその思考からある程度は抜け出そうと(何年もずっとできてないけど)考えているところ。

その分、お互いもっと政治に関心を持ちましょうね(とりあえず「外国人技能実習生制度の見直しを検討」とかいうヌルい上にキショいことを言わない、即廃止を掲げる政党を推しましょう)、なんなら令和の無血革命でも起こしてやりましょうね(これは煽動なのでよくない)、という結論で結びます。